「はまった男の恋物語」全65話完結しました
はまった男と中国人彼女との出会いから始まる胸に響く長編です。

「はまった男の恋物語」第2弾「恋する千羽鶴」全30話完結しました
「結婚」この二文字が二人にはとても重い言葉でした。

「はまった男の恋物語」第3弾「あなたの中国語」転載開始です
1998年の大連を舞台に広がる大恋愛!!

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あなたの中国語11

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あなたの中国語
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バンレンタインデー
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しばらくして後輩の山本が、静のことは脈無しと判断し静の店のほかの女の子にはまったそうだ。
それの付き合いで僕も静の店によく行った。

でも、自分では分かっていた。
本当は山本の付き合いではなく、静に逢いたいから店に通ったことを・・・・・。

店の中では静は人気者だから短い時間しか僕の席に着かない。

静も、なにか言いたげにしているが、ハッキリとは言ってこない。

お互い、自分の気持ちを抑えているような、よく分からない日々が続いた。

2月14日バレンタインデー、静から短信が来る。

*今日はバレンタインデーだから、あなたにチョコレートを渡したい。*

もちろん、山本もオキニから同じような短信があったそうだ。

僕は、(静も営業が上手くなったな。) と内心苦笑した。

ほかのお客にも、こんな短信をしているんだろう。

中国のバレンタインデーは日本とは少し違うが日本人のお客に会わせて、このイベントを考えたのだろう。

山本と一緒に静の店に行く。

うわ!

いつもより増して、お客がいっぱいだ。

「チョコレートをあげるから、店に来て!」 攻撃で集まったお客なのだろう。
僕もそのウチの1人なのだが・・・・・。

女の子達が、お客にチョコレートを渡している。

僕は、静を待った。

いつチョコレートをくれるんだろう?

ステージの上に静がいる。

いつも、カラオケをするときはお客の席で歌っているのに、どうしてステージにいるんだろう?

そして、静は歌い始めた。

あれ?この歌は・・・・・。

静が歌っているのは・・・・・。

以前、僕が日本から持ってきたLDにこの曲が入っていて、
『僕はこの歌が、一番好きだ。』と静に言ったことがある。

下手くそな日本語で一生懸命歌っている。

歌い終わり、静はマイクを持ったまま挨拶を始めた。

「今日は沢山の人が来てくれましたね。有り難う御座います。これからも、この店をよろしく御願い致します。」

お客、女の子達が、拍手をしている。

そして、今度は中国語で話し始めた。

お客さん達は、静がなにを言っているのか分からないみたいだ。

ママや女の子達も『何故中国語で話すの?』みたいな顔をして明らかに動揺している。

ここは日本人クラブだから当然だろう。

静 「今日はバレンタインデーです。女性が、好きな男性にチョコレートを渡す日です。」

静 「今日は、わたしの一番逢いたい人が来てくれました。」

僕 「・・・・・・・・・・。」

静 「わかりますか?あなたのことです。わかったら、わたしを見て下さい。」

僕 「・・・・・・・・・・。」

僕は、静のほうを見た。

静も僕のことを見つめている。

お店の中が、ざわめき始めた。

お客が 「静は、何を言っているんだ?」 と言っている。

女の子達も、「チーママは、誰に言っているのかしら?」 とヒソヒソ話している。

静 「この前は本当にありがとう。これで不安が無くなりました。」

僕 「・・・・・・・・・・。」

静 「お礼は言いましたが、感謝の気持ちが伝えきれませんでした。チョコレートを渡しても伝えきれません。」

僕 「・・・・・・・・・・。」

静 「だから、あなたの一番好きな歌でわたしの気持ちを伝えました。」

僕 「・・・・・・・・・・。」

静 「わたしの気持ち、伝わりましたか?わかってくれますか?」

僕 「・・・・・・・・・・。」

静 「あなたの言う通り、もう、男性とは安易に付き合いません。」

僕 「・・・・・・・・・・。」

静 「わたしが次に選ぶ人は、きっと大丈夫です。わたしは二度と後悔しないでしょう。」

僕 「・・・・・・・・・・。」

女の子達が更にざわめき始めた。

ママは、「静!なにを言っているの!止めなさい!」 と大声で怒鳴る。

でも、静は周りのことなど頭にないようだ。

静は、真っ直ぐに見つめている。

僕だけを見つめている。

手が震えている。そして声も・・・・・。

静 「ねえ、あの時だけなの?」

僕 「・・・・・・・・・・。」

静 「もう、わたしのことは、守ってくれないの?」

僕 「・・・・・・・・・・。」

静 「これからも、わたしを守って。」


僕は自然と立ち上がった。

そして、気が付くとステージの上で静を抱きしめていた。

お店の中が、一気に沸き上がる。

拍手、歓声、罵声・・・・・。

女 「すごーい!チーママやるー!」

女 「松田さーん!もう浮気しないでね!」

女 「かっこいー!いつまで抱き合っているのー!?」

客 「おい!今、静は何て言ったんだ!?教えてくれ!」

客 「離れろ!チーママ、こっちに戻ってこい!」

客 「なんて言ったんだ!?通訳してくれ!通訳!」

香は、狼狽して、オロオロしている。

その姿が印象的だった。

これが静と僕の気持ちが分かり合えた一大イベントだった。

そして、この日を境に僕と静は恋人同士となる。

僕は、ここまで自分の心が動いた女の子に、巡り逢えた事はなかった。

そう、中国でも、日本でも・・・・・。

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第9話
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一番だった・・・
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今まで付き合っていたコとは、段々離れていくことになった。

もう、会う気も起きないし、付き合っていたコも僕の態度の変化に気が付いたようだ。

でも、綾だけは、僕のことを想ってくれた。

何日かして、どうしても逢いたいと、綾から電話が来る。
僕は、下班後綾のことを気に入っている青木を連れて綾の店に行った。

青木は、不機嫌だ。

青 「どうして、綾ちゃんに冷たいんですか?昨日泣いていましたよ。」
僕 「忙しくて、会う時間が無いんだよ。今日はやっと時間が取れたんだ。」

青 「僕だったら、綾ちゃんを悲しませませんよ。」
僕 「お前、綾に気があるの?」

青 「・・・・・・・・・・。」

やはり、気があるみたいだ。
しかし、綾は僕のことを恋人だと思っている。

会えなくても、電話をしなくても、僕のことを想ってくれている。
どうしようか・・・・・。

僕は、徹底的に綾と2人で会うのを避けた。
綾と会うときはお店でもアフターでも、必ず青木を連れて行った。

そして態度も冷たくした。

綾が、「2人だけで会いたい!」 と言っても聞き入れなかった。
電話すら掛かってきたらすぐに切った。

もう、この時は心の中のウエイトの大半を静が占めていたから・・・・・。

冷たくすることで、綾が僕のことを諦めてくれればと思っていたのだ。

ハッキリと「もう、終わりにしよう。」 と言えば良かったのだが、
今まで付き合っていた綾に、そんな酷いことは、どうしても言えなかった。

しかし、僕の取っていた行動は、より一層綾を傷つけていたのかも知れない。

ある日、青木と綾の店に行ったとき綾が叫んだ。

綾 「どうして、青木さんと一緒に来るのよ!2人だけで話がしたいの!」

僕 「それは、お客に対して、失礼だろ?青木に『来るな!』って言っているのと同じことだ。」

綾 「何度も、2人だけで話したい、と言ったじゃない!」

僕 「どうして、青木を連れてくるか、まだ分かんないの?」

綾 「???」
僕 「綾と2人だけだと、つまらないんだよ。一緒にいるのがイヤなんだ。だから、青木に無理して付き合ってもらっているんだ。」

綾 「・・・・・・・・・・。」
僕 「綾は、鈍感だから、気付かないんだな。よくチーママが勤まるね。」

綾 「・・・・・今言ったこと、本当なの?」
僕 「本当だよ。綾と一緒にいるのは息が詰まりそうだ。」

綾 「・・・・・・・・・・。」

しばらく僕、青木、綾は、無言だった。

綾は、無理に作り笑いをして

綾 「そうだったんだ、なら、早く言ってくれれば良かったのに。」
僕 「・・・・・・・・・・。」

綾 「・・・・・もっと早く言って欲しかったな。」
僕 「・・・・・・・・・・。」

綾 「松田さんが、今度付き合うコには、私と同じような付き合い方をしないほうがいいよ。女の子が傷つくから・・・・・。」

僕は、綾の目が、赤くなっていることに気が付いたが声を掛けられなかった。

綾の店を出た。青木が、僕に向かって

青 「松田さんってヒドイ人ですね。よくあんなことが言えますね。」
僕 「ん?さっきの事か?」

青 「そうですよ!どんなに綾ちゃんが傷ついたことか・・・・・。」
僕 「お前、なにムキになっているの?綾のことが好きなのか?」

青 「そうですよ!松田さんにとっては何人ものウチの1人かも知れないけど、僕は綾ちゃんが一番です!傷つけて欲しくないです!」

僕 「何、情けないこと言っているんだ?お前が好きならなんとかしてみろよ。誰も邪魔しないだろ?まさか、俺に気を使って告白できないなんて言うつもりじゃないだろうな?」

青 「・・・・・・・・・・。」

僕 「ウジウジしていて、みっともねえ。」
青 「・・・・・いいんですね?綾ちゃんに迫っても。」

僕 「やってみな。」

僕は、そっけなく言った。

青木は立ち止まっていたが、決心したように一度出た店に戻って行った。

青木なら、上手く綾を慰めてくれるだろう・・・・・。

家に戻り、ベットの上に寝っ転がった。

綾に冷たかったかな?何でこんなに心が痛むんだ?

今まで、遊んでいたツケが回ってきたのか?

夜中の1時過ぎ、綾から短信が来る。

綾 *今、電話してもいい?*

僕 *OK*

そして、僕の携帯が鳴る。

僕 「もしもし?」
綾 「あ、松田さん?」

僕 「ああ、綾・・・・・。仕事は終わったの?」
綾 「うん、さっき終わった。」

僕 「青木は?店に戻ったでしょう?」
綾 「さっき帰った。青木さんって、優しいね。私のこと心配してくれた。」

僕 「あいつは、いい奴だよ。」
綾 「ねえ、正直に答えて。」

僕 「なに?」
綾 「さっき店で言ったこと、本心じゃないでしょう?私にあなたを諦めさせたくて言ったんでしょう?」

僕 「・・・・・・・・・・。」
綾 「私、わかっている。あなたは、優しい人だわ。」

僕 「・・・・・・・・・・。」
綾 「あなたとは、これで終わりにしましょう。これで、いいんでしょう?」

僕 「・・・・・綾は、いい女だよ。これは、本心からそう思う。」
綾 「無理しないで。一応、振ったのは、わたしのほうになるのかしら?」

僕 「今日は、美女に振られて、最悪の日だよ。」
綾 「もう、店には来ないでね。私からも電話しない。」

僕 「・・・・・わかった。」

電話が切れた。綾、泣いていたな。

大丈夫かな・・・・・。

いや、綾ならきっと大丈夫だ。必ずいい人が見つかるさ。

僕だって静が現れなければ綾が一番好きだったんだから・・・・・。

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決着
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店に入ると、すでに、静と男が、大声でケンカをしていた。
僕 「どうしたんだ!止めろ!」

僕は大声で叫んだ。

静 「この人が、お店のお金を、盗ったのよ!」

男 「1000元くらいで、文句を言うな!」

お店の売上金は、もちろんその日の内に、回収して翌日銀行に預ける。

しかし、何かあったときのためにいくらかは、店に置いておくらしい。

しかし、静からお金を奪い、店のお金にまで、手を出す。
本当にどうしようもない男だ。

男は、「お前が静の言っていた恋人か!?」 と僕に向かって怒鳴ってきた。
静は、そんなことを言っていたんだ。

僕は、黙って頷いた。

男は 「邪魔をするな!」と言って、掴みかかり、殴ってきた。

殴られたが、不思議と僕は落ち着いている。

静の前だからか?

それとも、この男に、負けるはずはない、と思ったからか?
静は目を覆い、悲鳴を上げている。

僕 「これで、この男の正体が、わかっただろ?安易に付き合うと、こういう事になるんだ!」

そう言って、僕は思いっきり、腹を殴り返した。

男の身体が、エビのように曲がり両ひざを床に着いた。
男は呻き声をあげている。

僕は、「どうする?おとなしく帰るか?それとも公安に突き出そうか?」

男は、僕のことを睨んでいる。そして、また殴りかかってきた。
もう一度、腹を殴った。

男は倒れ込み、もう殴りかかっては来なかった。

ちなみに僕は、ある格闘技を習得していたので腕にはそれなりの自信があった。

その後も、何度か、いざこざがあったが男は静を諦めて黒龍江省に帰った。

静も、どうしようもない男と付き合った事はいい経験になるだろう。

この次は、もっと慎重に男と付き合うはずだ。

男が帰ってから、何日かした日、静から短信が来る。

静 *今日、少し時間ある?*

僕 *あるけど・・・・・。なに?*

静 *会いたいの。この前のお礼もしたいし。*

僕 *もういいよ。何度も、お礼を言っていたじゃない。*

静 *もう一度、お礼を言わせて。*

静と会うことになる。
喫茶店で待ち合わせをして、デート感覚で過ごした。

静の顔が、以前よりも明るくなっている。

あの男が、目の前から姿を消したからか?

それだけじゃないような気もするんだけど・・・・・。

静 「ねえ・・・・・。」
僕 「なに?」

静は、僕のほうを見て、恥ずかしそうに

静 「・・・・・なんでもない。」

僕 「最近、それ多いね。僕に、何か言うことあるんじゃないの?」

静 「ううん、なんでもないよ。」

なにか言いたそうにしているんだけど、いつも『なんでもない。』 で終わらせてしまう。
この前のように、静の顔がリンゴのように真っ赤になっている。

可愛いな。なんか、惚れそうだ。

でも、僕には付き合っている女がいるし静もその事は知っているだろう。

この時には静のことしか頭にないのを僕はワザと気付かない振りをしていた。

もう、この時点で静のことは好きになっていた。

いや、違う。

初めてレストランで泣いている静を見た時から、惹かれるのもはあったんだ。

香の店で再開した時、既に僕は、静にはまっていたのかも知れない。

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あなたの中国語8

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*早く来て!*
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僕は * OK * と返事をした。

なぜか、ずっと携帯を見つめている。
今までは、女の子から携帯に電話が来ると、イヤだったのだが・・・・・。

しばらくしてから、電話が来る。
僕 「もしもし?」
静 「わたし、静です。」

僕 「ああ、仕事終わったの?お疲れ様。」
静 「あの、松田さん。仕事、休みの日っていつですか?」

僕 「日曜日に決まっているじゃない。」
静 「じゃあ、明後日の日曜日、会えませんか?相談したいことがあるんです。」

僕は、少し驚いた。

僕 「大丈夫だけど・・・・・。どうして僕に?」
静 「相談できる人がいないんです。ダメですか?」

僕 「何時に会うの?」
静 「松田さんに合わせます。」

僕 「じゃあ、お昼の1時に、静の店の前にしようか。」
静 「それでいいです。遅くにすみませんでした。」

電話が切れた。相談か・・・・・。何の相談だ?

僕はわかっていた。

たぶん、今、付き合っている男のことだろう。


日曜日、僕と静は2人で喫茶店にいた。
しかし、デートみたいな気軽さはない。

静の相談は、やはり、今、付き合っている男のことだった。

静は元々大連出身だが、親の都合でしばらく黒龍江省に住んでいた。

どうやら、その男とは、黒龍江省に住んでいた時の知り合いらしい。
静が大連に戻ってきたのは、今から約半年前。

お姉さんは、大連で2年前からクラブで働いていたが、
知り合ったお客から、『お金を出すから、ママとして店をやらないか?』
と言われて、店をやることとなった。

そして、妹の静を大連に呼んだ。

久しぶりに大連に戻った静は、知り合いが少なくて、寂しかったらしい。

その男も、静を追いかけて大連に来た。大連に知り合いの少ない静は寂しさから、その男と付き合った。

しかし、その男が、絵に描いたような、どうしようもない男だった。
学校を辞めて、静を追いかけてきたらしい。

そして、仕事はしないで,遊んでばかりいる。浮気はする。お金を要求する。
勝手に静の部屋に居座っている。

ようは、ヒモのような生活だ。

静は、困り果てていたが、姉は自分の店が、やっと立ち上がり
心配を掛けることが出来なくて、自分1人で悩んでいたらしい。
(少しは相談していたみたいだが・・・・・。)

何度、別れたいと言っても、男は承知しない。

悩みがあっても、店の中ではチーママとして、女の子達を指導しなくてはならない。

19歳の静にとっては、結構、大変だろう。その気持ちはわかるのだが・・・・・。

静 「もう、疲れしまって・・・・・。」
僕 「それで?」

静 「え?」
僕 「それで、僕にどうして欲しいの?」

静 「・・・・・・・・・・。」

僕 「その男は、確かに、どうしようもない男だと思う。でも、付き合うのは、静が自分で決めたことだ。」

静 「・・・・・・・・・・。」

静が、半ベソをかいた。

静 「わたし、どうしたらいいのかな・・・・・。」
僕 「これに懲りたら、簡単に男とは、付き合わないことだね。」

静 「違うよぉ、わたしは簡単に男と付き合うような女じゃない。」
僕 「なら、その男とどうして付き合っているんだ?」

静 「・・・・・・・・・・。」
僕 「その男を、近いうち、呼び出しな。」

静 「え・・・・・?」
僕 「別れたいんだろ?話をつけるよ。その男を呼び出しな。」

静 「・・・・・あなたが?」
僕 「あんなふざけた奴は、許せないんだ。静の安易な考えにもね。」

静 「・・・・・・・・・・。」
僕 「ただし、条件がある。」

静 「・・・・・なに?条件って?」
僕 「上手く別れることが出来たら、今度は僕と付き合ってくれ。」
静 「え?」

静は驚いて、目を大きくしている。

僕 「どうする?」

しばらく黙っていたが、静は戸惑っている。

明らかに答えづらそうだ。

僕は笑いながら 「冗談だよ。」 と言った。

半分冗談、半分は本気で言ったのだが・・・・・。

あれ?静の顔が、リンゴのように赤くなっている・・・・・。


静の彼氏と、話をつける日が来た。

*昼に、お店に来て* と静から短信が入る。

レストランで見た彼氏は、どうしようも無いような奴だった。

どうして静は、あんな奴と付き合ったんだ!?

何故か無性に腹が立つ。

また静から、短信が来る。何度もどうしたんだよ・・・・・。

僕はポケベルを見た。

     *早く来て!*

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あなたの中国語7

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短信
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次の日、僕は1人で、静の店に行った。

僕のセカンドバックには昨日渡された、ハンカチが入っている。

僕が店に入ると、香が驚いていた。
香 「いらっしゃいませ、来てくれたんですか?」

僕 「どうして?」

香 「昨日、失礼なことをしちゃって、怒らせてしまったので。」

僕 「だから、気にしていないよ。静はいる?」

香 「え?静ですか?ちょっと待っていて下さい!」

香が驚いて、静を呼びに行った。
ほかの席に座っている静を香は呼んでくれた。
静は、少しよそよそしい。

隣に座り

静 「本当に来てくれたんですね。」

僕 「昨日約束しただろ?」

そう言って、ハンカチを渡した。静はハンカチを受け取りながら

静 「あの、ちょっと聞いて、いいですか?」

僕 「なに?」

静 「昨日、どうしてわたしのことを、ウソつきと言ったんですか?私なにかウソを吐きましたか?教えて下さい。」

僕 「大したウソじゃないよ。誰でも吐くウソさ。昨日は僕もどうかしていたんだ。」

静 「大したウソじゃない・・・・って、何のことですか?」

僕 「静は、『恋人はいない』 って言っただろ?本当はいるくせに。」

静 「・・・・・・・・・・。」

僕 「でも、考えてみたら、誰でも『いない』って答えるよ。『恋人はいます』、なんて答えたら、お客は来なくなるからね。」

静 「・・・・・・・・・・。」

僕 「だから、僕も昨日は、どうかしていたんだ。反省している。」

静 「・・・・・どうして、わたしに、恋人がいると思ったんですか?」

僕 「いつだったか、あそこのレストランで、男とケンカをしていただろ?静が倒れて泣いているとき、僕は声を掛けたんだ。」

静 「あ!あの時の・・・・・。」

僕 「思い出したかい?心配だったけど、静は、『あんたには関係ない!』 と怒鳴って、店を出て行った。そして、この店で再会したわけさ。」

静 「・・・・・・・・・・。」

僕 「余計なことかもしれないけど、あの男とは、別れたほうがいいな。」

静 「心配してくれるんですか?」

僕 「あんな男と付き合っていたら、誰だって心配するよ。」

静 「わたしは、別れたいんだけど・・・・・。」

その時、静は香に呼ばれた。静はこの店の看板娘だから

僕の席だけには、構っていられないんだろう。

僕 「静は、人気があるね。長い時間は話せそうにないなあ。」

静 「あの、後で電話していいですか?」

僕 「別に構わないけど、番号知っているの?」

静 「お姉ちゃん(ママの香のこと)に聞きます。」

僕 「香は、ポケベルの番号しか知らないよ。携帯番号を教えようか?」

静は、ちょっと怪訝そうな顔をして

静 「・・・・・松田さんは、携帯番号を、誰にでも教えるんですか?」

僕 「いやなら、教えないよ。」

静はあわてて

静 「教えて下さい。余計な事を言って、ごめんなさい。」

僕 「静は、ポケベル持っている?」

静 「持っています。」

僕 「じゃあ、静のポケベルの番号を教えて。後で携帯番号を短信する。」

静 「わかりました。」

静が、紙にポケベルの番号を書く。そして

静 「ごめんなさい、約束守れなくて。今日は、ずっと松田さんの席にいたいのですが。」

僕 「気にしないで。ほら、香が呼んでいるよ。」

静 「松田さん、今日は優しい・・・・・。」

僕 「いつも優しいよ。さっきも言ったけど、昨日はどうかしていたんだ。」

静 「・・・・・・・・・・。」

僕 「ほら、早く行きなよ。香が睨んでいる。」

僕は軽く肩を叩き、静は、ほかのテーブルの席に行った。

香が気を使って、ほかの女の子を並べてくれたが、

今日は静以外と、話す気になれない。

僕 「明日、早いから、今日は帰るよ。」

香 「本当にゴメンなさい。これに懲りずに、また来て下さい。」

僕 「OK。」

香 「でも、今日はどうして静を?昨日は怒っていたのに・・・。」

僕 「静に怒っていた訳じゃないよ。」

香 「え?じゃあ、誰に怒っていたんですか?」

僕 「自分自身と、ろくでもない男に対してさ。」

香 「・・・・・??」

僕は店を出て行った。そして、静のポケベルに、僕の携帯番号を短信した。

しかし、さっき静が言った 『わたしは、別れたいんだけど・・・・・。』

この言葉が、妙に気になった。

別れたければ、さっさと別れればいいのに・・・・・。

そして午前2時頃、静から僕のポケベルに短信が来る。

*今から電話をしてもいいですか?*

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あなたの中国語6

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嫉妬?
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山本は、静のことを気に入ったようだ。夢中で話している。

山 「静ちゃんは、どこの出身?」

静 「大連です。ただ、以前、親の都合で、黒龍江省に住んだ時もあります。ハルピンからバスで8時間くらい掛かります。」

山 「うわっ!遠いな。黒龍江省は、寒いでしょう?」

静 「はい、冬はとても寒いです。大連が暖かく感じます。」

山 「静ちゃんは、本当にカワイイや。僕みたいな男はどう?」

静 「え?どうって言われても・・・・・。」

山本 「僕と付き合わない?静ちゃんのことは、絶対に幸せにするよ。」

静と香は、笑いながら

静 「出会ったばかりじゃないですか。山本さんの事は、まだ分かりません。これからも、わたしに会いに、お店に来て下さい。」

山 「あちゃ〜もうフラれちゃったよ。営業トークだ。」

香 「静を、ゲットするのは、難しいですよ。みんなのアイドルですから。」
静は笑っている。

「静は、男いるの?」
僕は、ぶっきらぼうに聞いてみた。

香も静も、少し驚く。

静 「え?どうしてですか?」

僕 「山本が聞きたいことを、僕が代わりに聞いているのさ。遠回しに言うのは、好きじゃないんだ。」

静 「・・・・・・・・・・。」

僕 「どうなんだ?」

静 「・・・・・いません。」

僕 「ふーん、そうなんだ。」

僕はそっけなく言ったが、内心では、『ウソつけ!』、と思った。
山本は「よお〜し!僕にも、チャンスがあるぞ!」 と喜んでいる。バカな男だ。

彼氏がいても、正直に答える女なんて、いるわけ無いだろ。

あの時、男が 『恋人を助けるのは当たり前だろう!』 と怒鳴っていた。
さらに、『今日は、何時に帰ってくるんだ!いつも遅く帰ってきやがって!』
とも言っていた。

あんなロクでもない男と、一緒に住んでいるんだろう。
それなのに、店ではチーママで、女の子達に対して、偉そうにしている。
お客にも、チヤホヤされている。

しかし、そんなことは、どうでも良いことだ。静が、誰と付き合おうが、僕には関係ないし、店でチーママをしていても、お客にどんなに人気があっても、僕には関係ない。

『彼氏がいない』、と答えるのは、クラブで働いている女なら、当たり前のことだ。

それなのに、どうしてこんなに気分が悪いんだ?自分でも分からない。
僕は、イライラしながら、飲んでいた。

香が、中国語で、「松田さん、今日はつまらない?」 と言ってきた。

山本に分からないように、中国語にしたのだろう。

僕 「どうして?」 僕も、中国語で答える。

香 「この前来たときより、機嫌が悪そうだから・・・・・。なにか、失礼がありましましたか?」

僕 「別に。ただ、チーママの静が、気に入らないだけさ。」

香は驚いて「え?どうしてですか?」 と言った。

静がキッと、僕を見て中国語で話しかけてくる。

静 「わたしとあなたは、初対面です。どこが気に入らないんですか?直すから、教えて下さい。」

僕はバカにしたように、「無理だね。」 と言った。

静 「無理って、なにが無理なんですか?」

僕 「今更、直るもんじゃないよ。ウソを吐くのは、生まれつきだ。直そうと思って、直せるもんじゃない。」

静 「ウソ吐きですって?わたしの、どこがウソ吐きなんですか?教えて下さい。」

僕 「自分で考えな。」 僕はそっけなく言った。

静 「わたしは、わかりません。教えて下さい。」

僕 「ウソを吐いて、わかりませんか。もういいよ、君は、ほかの席に行ってくれ。君の顔を見ていると、酒が不味くなる。」

静 「どうしてですか?教えて下さい!ヒドイじゃないですか!」

僕 「だから自分で考えな。少なくとも、君は僕と山本にウソを吐いた。山本は君のことを気に入っている。その、お客に対して失礼だ。」

静 「どこがですか!?何がウソなんですか!?」

静が怒鳴って、立ち上がった。

その拍子に、グラスが倒れ、僕のズボンが濡れてしまった。

香が、あわてて、おしぼりを持ってくる。

香が、静のことを叱っている。「早く拭きなさい!」 と言っているが
静は、呆然としている・・・・・。

香 「失礼しました。静は、まだ、この仕事に慣れていないもので。 どうか、気を悪くなさらないで下さい。」

僕 「別に、気にしてないよ。そろそろ、帰ろうか?」

僕は、山本に対して言った。
山本は、何がなんだか、わからない、と言う顔をしている。
中国語がわからない山本にしたら、当然だろう。

山 「静ちゃんと、何を言い合っていたんですか?」

僕 「何でもないよ。」 そう言って、帰ろうとした。

香 「あ、まだズボンを、拭いていません。」

僕 「だから、気にしていないよ。」

香 「そんな・・・・・。本当にすみません。」
香は、何度も謝っている。

僕は、心の中で、
(俺、何やっているんだ?彼氏がいないなんて事ウソの内に入らないじゃないか。何ムキになっているんだ?)

自己嫌悪に陥っていた。

店を出て、タクシーに乗り込もうとしたら、静が、走って店から出てきた。

そして、「これ、使って下さい。」 と言って、ハンカチを渡してきた。

女の子らしい、刺繍が入ったハンカチだ。

僕は、「そのうち乾くから、いらないよ。」 と断ったが

静 「使って下さい、お願いです。さっきは、すみませんでした。」

静は、今にも泣きそうな顔で、謝っている。

僕は少し胸が痛んだ。悪いのは僕だ。それなのに、静は謝っている。

なぜ静に、あんな意地悪をしたんだ?どうしてだ?

僕 「わかった。このハンカチ、使わせてもらうよ。」
静は、ホッとした顔をした。

静が、ハンカチを渡そうとする。僕は、その手を握りしめた。静が驚いている。

静 「・・・・・なんですか?」

僕は静を、見つめながら

僕 「明日、持ってくるよ。」

静 「え?」

僕 「明日、このハンカチを洗って返しに来る。静に、逢いに来る。」

静 「・・・・・・・・・・。」

僕 「明日は、ずっと僕の席にいてくれるか?」

静 「・・・・・・・・・・。」

僕は、しばらく静の手を、握りしめたままだった。
そして、静は黙って頷いた。

素直で可愛いコだ・・・・・。

僕は、この時、どうしてこのような行動を取ったのだろう?
勝手に身体が動いてしまったような、そんな感じだった。

そして、なぜ静に意地悪をしたのか、自分でも分かっていた。
静は、どうしようもない男と付き合っている。

軽い嫉妬からの行動・・・・・。

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再会
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何日かして

*今日から、チーママが店に来るから、是非遊びに来てください。*

香から短信が来る。僕は、あまり行く気が起きなかったが一度くらいチーママに会っておくのも、いいかな?と思いOKした。

僕はもう1人の後輩、山本を誘ってママの店に出掛けた。

店に入り、席に座る。ママが出てきて
香 「とりあえず、女の子を選んで。」 と言って、僕達は1人ずつ選んだ。

僕 「チーママは?」

香 「今、来るから、ちょっと待ってて。」

しばらくして、チーママが来た。

静 「チーママの静です。よろしく御願いします。」

僕 「・・・・・・・・・・。」

山 「松田さん、可愛いチーママですね!」

僕 「・・・・・・・・・・。」

香 「私の妹なの。この前は、居なくて御免なさいね。」

僕 「・・・・・・・・・・。」

香 「松田さん?」

山 「松田さん、どうしたんですか?」

僕の耳には、香の言葉や、山本の言葉は入らなかった。
僕はチーママの静に

僕 「ねえ、君さあ、僕のこと見覚えない?」

静 「え?ありませんけど・・・・・?」

僕は、中国語で、話しかけた。

「よーく見てくれ。会ったこと無いか?」

静も、中国語で返事をする。

「中国語、上手いですね。中国の人みたいです。」

香が日本語で「この人が、有名な松田さんよ。静も覚えておいてね。」

静 「ああ、この人がそうなんですか?ずいぶん若いですね。」

山 「さすが、松田さんは有名人ですね。」

僕 「・・・・・・・・・・。」

僕のことを、覚えていないのか?それとも、別人なのか?

目の前にいる、茶色の髪をしたチーママの静は、この前、男とケンカをして泣いていた女の子に、そっくりだった・・・・・。

香、静も僕達の席で飲むことになった。みんなで乾杯する。
山本は、静を気に入ったようだ。

山 「ホント可愛いね。静ちゃんは、今いくつ?」

静 「19歳です。」

山 「19?その歳で、チーママなんだから、大したもんだね。」

静は笑いながら
「ママとは、姉妹なんです。だから、私がチーママをしています。別に大したものでも、無いですよ。」

僕は、しばらく無言で飲んでいた。

人違いか?でも、似ているなあ。
中国の人口は、世界一だ。

静と似ている人は、いるかもしれない。

しかし、幼さ、髪の色まで同じだ。ここまで偶然が、短期間に重なるだろうか?

チーママの静は、化粧をしている。仕事柄当たり前だ。

この前泣いていた女は、化粧をしていなかった。

似ているが、ちっと違うような気もする。

化粧を落としたら、この前の女かどうか、わかるんだけど・・・・・。

僕は静に話しかけた。
「ねえ、静は、どうして店を休んでいたの?」

静は、香と目を合わせて合図している。

本当のことは、言うな!みたいな感じだ・・・・・。

静 「ちょっと、転んじゃって、顔に怪我をしたんです。お客さんの前には、恥ずかしくて、出られませんでした。」

僕は 「そうなんだ、顔を見せて。」

と言って、静を抱き寄せた。静は、恥ずかしそうにしている。

静の顔を見た。殆ど治っているが少し痕がある。

あの時の怪我だ。あの時、顔から血が出ていた。

間違いない、このチーママの静は、あの時、男とケンカをしていた女だ。

こういう偶然ってあるんだな。

そう、この時は、ただの偶然の再会だと思っていたんだ。

本当に、ただの偶然だと・・・・・。

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あなたの中国語4

あなたの中国語・・・管理人より
あなたの中国語・・・第1話第2話第3話
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謎のチーママ
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新規開店の店に着いた。(と言っても、2週間前にオープンしたのだが。)

ママが、挨拶に来て名刺を渡す。ずいぶん若いママだな・・・・・。

ママの名前は、香。僕も、自分の名前を言う。

香 「あ!あなたが松田さん?噂は聞いているわよ。」

僕は笑いながら

僕 「どんな噂?遊びまくっている、女の子を騙している、こんなヒドイ噂じゃない?」

香 「え?そんな事しているの?私が聞いたのは、良い噂だけど・・・・・。」

僕は笑いながら

僕 「ははは、無理しないでいいよ。」

香 「本当よ。仕事が出来て中国語はペラペラ、カラオケの店のアドバイスや、店の女の子の教育までしてくれる人、って聞いたけど。」

僕 「良かった、悪い噂じゃないんだ。」

香 「当たり前じゃない。」

そう言って、お酒、おつまみ、などを持ってきた。

香 「松田さん、この店どうかしら?」

僕 「いいんじゃない?落ち着いて飲めそうな店だね。」

香 「後で、ショーが始まるわ。楽しんでいって。」

香はそう言って、女の子達を並ばせた。女の子のレベルも、まあまあだな。
まあ、そこそこに、やっていけそうな店だ。

僕は1人選び、青木も選んで、隣に座らせた。
僕、青木、香、指名した女2人、5人で飲んでいた。

しばらく飲んでいたら、香の携帯が鳴る。
さすが、店のママだけあって、携帯電話を持っているんだな・・・・・。

そして、香が怒鳴る。電話の相手に、すごい剣幕で怒鳴り始めた。

青 「ママ怒鳴っていますね、なに話しているんですか?」
僕は、香の会話を聞いた。

僕 「チーママが、『今日は、店を休む。』って言っているみたいだよ。」

青 「やる気のないチーママですね。」

僕 「あれ?チーママって、ママの妹みたいだぞ?」

青 「そうなんですか?」

僕 「今、ママが言っていた。『姉妹2人で始めた店なんだからもっと責任感を持ってくれ!』 だってさ。」

香が、電話を切り、「困るわ。」 と呟いた。

僕は心配になり

僕 「どうして、妹のチーママは、今日、お休みなの?」

ママの香は驚いて

香 「なんで、わかったの?」

僕 「さっきの、香の電話の会話を聞いたからさ。」

香 「ああ、そうか。松田さんは、中国語が出来るものね。会話を聞かれて、恥ずかしいわ。」

僕 「どうして、休んだの?」

香 「理由も言わないで、『今日は店を休む』、と言ってきたのよ。実は、その前にも電話があって、『少し遅れる。』って言ってたのに。本当に困るわ。まだ、店を始めて、2週間しか経っていないのに。」

僕 「無断欠勤と同じだね。」

香 「そうなのよ。私達、姉妹2人で始めた店なんだからもっと、しっかりしてもらわないと・・・・・。」

僕 「そうだなあ・・・・・。」

香 「それに、チーママ目当てのお客さんが、一番多いんだから・・・・・。」

僕 「そうなの?」

香 「自分の妹を褒めるのも変だけど、とても可愛いのよ。」

僕 「そんなに可愛いの?」

香 「店を始めて、まだ2週間でも、チーママ目当てのお客さんが、沢山いるわ。」

香は、チーママを紹介できないで、申し訳ない、と何度も謝ってきた。
僕は、気にしていない、と言ったが、少し、しらけムードになった・・・・。

しばらくして、ショーが始まった。
しかし、大して面白くない。もっと、過激なショーかと思った。

女の子達は、なかなか教育されていて、グラスを拭いてくれたり
すぐ灰皿を交換してくれる。この当時では珍しい。


でも、店のNo2のチーママが、理由もなく休む店なんて、この先どうなる事やら。

しばらく飲んでいて青木が

「そろそろ、綾ちゃんの店に行きましょう。」 と言い出した。

僕達は会計をして、店を出た。ママの香がタクシーまで送ってくれる。

香 「また、来て下さい。今度はチーママに挨拶させますから。」

僕は、「また来るよ。」 と言ったが、この店には、もう来ることは無いだろう。

そして、綾の店に向かった。

綾は僕の顔を見ると、いきなり抱きついてきた。

綾 「逢いたかった。最近、どうして逢ってくれなかったの?」

僕 「忙しかったんだ、ゴメンね。」

綾は僕に抱きつきながら、青木のほうを見て
綾 「青木君、松田さんを連れてきてくれて、ありがとう。」

青 「どういたしまして。」

僕は、青木の顔を見た。

笑ってはいるが、無理して作り笑いをしているように見える。

店が終わるまで飲んで、
僕 「そろそろ帰るよ。」

綾 「ねえ、私の家に来ないの?」

僕 「明日、仕事が早いから、どうしようかな・・・・・。」

綾 「ねえ、青木君。明日、会社は、いつもより早いの?」

青 「そんなこと無いよ。いつもと一緒だよ。」

こいつ!余計なことを!

僕 「日本からも、社員が来ているんだ。僕が女の家に泊まっていることがバレたら、会社をクビになってしまうよ。会社では、女性の家に泊まることは、厳禁なんだ。」

綾 「今までは、泊まってたじゃない・・・・・。」

僕 「いつもビクビクしながら泊まっていたんだ。しばらくは、綾の家には泊まれない。少し様子を見よう。」

綾は寂しそうに 「わかった・・・・・。」 と呟いた。

僕達は、タクシーに乗り、家に戻った。

僕と青木は、同じマンションに住んでいる。僕の会社は、社員1人に一つのマンションを、支給してくれる。

そして、中にはホテル住まいの社員もいる。結構太っ腹だ。

同じマンションに入居しているのは、青木だけだ。

だから、青木とは特に仲が良くなった。

ほかの社員は、離れたマンションに散らばっている。

階段を上がりながら
青 「松田さん、もう少し、綾ちゃんに優しくしたほうがいいですよ。」

僕 「ん?冷たかったかな?」

青 「僕なら、もっと優しくしてあげます。綾ちゃん、可哀想ですよ。」

僕 「しょうがないよ、一緒に泊まった事がバレたら、それこそ大変な事になってしまう。」

青 「確かにそうなんですけど・・・・・。」

こいつ、やっぱり綾に気があるな・・・・・。


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あなたの中国語3

あなたの中国語・・・管理人より
あなたの中国語・・・第1話第2話
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青木・怒鳴る男・泣く女
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仕事は真面目に頑張り、女性との付き合いも真面目(??)に頑張り自分としては、満足のいく生活を送っていた。

ウチの会社も忙しくなる。日本から応援で駐在員が派遣された。

以前からの後輩、日本から来たばかりの後輩達も、指導しなくてはならない。
中国の人達や、後輩達の指導をしながら、営業の成績も上げる。

毎日がフル稼働だ。
社内での規則も厳しくなる。
僕は責任者という立場上飲みに行くのは、いくらか控えることにした。(それでも、かなり行っていたが)

そして、付き合っている女の子達とは、少しずつ会う時間が取れなくなる。

しばらくして、後輩の青木が
「新しくできた店で、イベントがあるから、行きませんか?」
と誘ってきた。

そこの店は、僕も行ったことがない。

そう言えば、2週間前に、新規開店した店があると聞いたことがある。

僕 「どんなイベントなんだ?」

青 「少し、エッチなショーもあるみたいです。松田さんは、いろんな店からアドバイスを受けているので、参考になるんじゃないかと思って。」

僕 「エッチなショーは、考えたことはあるけど公安(注1)あたりに引っかからないの?」

青 「どうなんでしょうね?」

僕 「とりあえず、行ってみるか。」

久しぶりに(1週間ぶりだが・・・・。)飲みに行くこととなる。
僕と青木は、下班後タクシーに乗りその店に向かった。

その途中

青 「ねえ、松田さん。綾ちゃんとは、上手く行っているんですか?」

僕 「ん?どうして?」

青木は、僕が綾を含め4人の女性と付き合っていることを知っている。

青 「いえ、昨日、僕1人で、綾ちゃんの店に飲みに行ったんです。綾ちゃんが寂しそうに「最近、松田さんが逢ってくれない。」と言っていたので・・・・・。」

僕 「最近、忙しかったからなァ。電話はしているけど。」

青 「ダメですよ。ちゃんと逢ってあげないと。寂しがっていましたよ?」

僕 「そうだな、今日、そこの店が終わったら、綾の店に行こうか。」

青木は、喜んで「行きましょう!綾ちゃん、喜びますよ!」と言った。
そして、嬉しそうに綾のポケベルに短信している。

僕は、おや?と思った。最近、綾がポケベルを買ったのは知っている。

しかし綾は、『番号は、松田さん以外には、教えていない』と言っていた。
そして『松田さんのためにポケベルを買ったのよ。』とも。

今はカラオケで働く女の子は営業、営業でどんな一見のお客さんにも携帯番号を教えるが、この当時は、ある程度信用している人にしかポケベルの番号や携帯番号を教えなかった。

綾は青木にポケベルの番号を教えたのか?

それとも理由を付けて、青木が綾から聞き出したのか?

僕は内心 (こいつ、ひょっとして、綾に気があるんじゃないのか?) と思った。

店に行く前に、近くのレストランで食事をした。

食べていると、近くで怒鳴り声が聞こえた。
見てみると、若い男と女が、言い合っている。

「なんか、スゴイ怒鳴り合っていますね。何言っているんですか?」
青木は中国語が、ほとんど分からない。

僕は、怒鳴り声を聞いてみた。

女 「あなたに渡すお金は、もう無い!」

男 「財布の中を見せてみろ!持っているのは、判っているんだ!」

女 「いつも、わたしのお金を当てにして!仕事をしたらどうなのよ!」

男 「偉そうなことを言うな!恋人を助けるのは当たり前だろう!」

そう言って、男は女の財布を奪った。女は必死に男の腕にしがみついて取り返そうとするが男の力には、かなわない。

結局、財布の中のお金は取られて、男は空になった財布を女に向かって投げつけた。

男 「今日は、何時に帰ってくるんだ!いつも遅く帰ってきやがって!」
と怒鳴って店を出て行った。

女は、うずくまって泣いている。

日本だったら、大騒ぎになっているだろうが中国では、この位の出来事にはみんな無関心だ。
周りのお客は平気な顔をして、食べている。

青木が、ボソッと呟いた。「あのコ、可哀想ですね・・・・・。」

さっきの会話では、男が女の金を当てにして、生活しているように聞こえたが・・・。

僕は女のほうを見た。まだ、幼い顔をしている。

歳は18くらいか?可愛らしい女だ。

髪の毛が真っ茶色で、それがよく似合っている。

あんなロクでもない男が恋人なのか?男を見る目がない女だな・・・・・。

僕は、うずくまって泣いている女に近づき「大丈夫?」と声をかけた。

あ!女の顔が擦り切れていて、血が出ているよ・・・・・。

女は凄い形相で「あんたには、関係ない!」と怒鳴って、店を出て行った。
なんだよ、感じ悪い。

せっかく心配してあげたのに。

でも・・・・・。

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あなたの中国語2

あなたの中国語・・・管理人より
あなたの中国語・・・第1話
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チーママ 綾
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クラブに着いた。

僕が店にはいると、新しく店で働くことになった女の子を、ママが必ず紹介する。
そして、「この子、昨日からだから、いろいろアドバイスしてあげて。」
こんな頼まれごとも、日常茶飯事だ。

僕が、新しく入ったコに、いろいろアドバイスをしていると、チーママの「綾」が
近づいてきた。

綾は、僕の隣に座り

綾 「来てくれたんだ。嬉しい。」 と言って、僕に抱きついてきた。

綾は、僕が今付き合っている中で一番のお気に入りだ。

僕は、この頃、複数の女性と付き合っていたが、特に綾とは仲が良かった。

この店に来るようになったのも、綾と知り合ったからだ。

綾は、チーママになっても人気は、まったく衰えず綾目当てのお客さんが一番多いと聞く。

僕は、綾を軽く押し戻し小さな声で

僕 「ダメだよ、店の中で、僕達が付き合っていることは、内緒なんだから。」

僕は、綾や、この店の売り上げに響くような行為はしたくない。
ほかの店でも、付き合っている女の子とは、店の中では極力普通に接していた。

僕 「ママに、新人のコの指導を頼まれたよ。」

綾 「そのコ、可愛いでしょう?きっと人気が出るわ。」

僕 「そうだね、愛嬌もあるし、日本人好みだよ。」

少し話したら

綾 「あ、私、もうあっちの席に、行かなくちゃ。」

僕 「なんだよ、もう行っちゃうの?せっかく店に来たのに・・・・・。」

僕は、向こうの席を見た。

僕(あいつか・・・・・。)

向こうの席で、綾を待っていたのは、ある公司(注1)の総経理(注2)だった。

この総経理は、あまり、良い噂は聞かない。

綾 「彼、私に夢中よ。毎日会いに来てくれるわ。」

僕 「彼は、あまり良い噂を聞かない。気を付けたほうがいいな。」

綾 「それって、ヤキモチ?」

僕 「自分の恋人に、何でヤキモチをやくんだ?彼は、『綾のお客』僕は、『綾の恋人』、だろ?」

綾 「そう言ってくれて、嬉しいわ。今日は、私のうちに泊まれる?」

僕 「そのつもりで来たんだ。」

綾は、マンションのキーを、僕に渡し、笑いながら

綾 「そんなに私を抱きたいの?」

僕 「綾だって、僕に抱かれたいだろ?」

綾は耳元で、小さな声で話す。

綾 「今日は、あの人(総経理のこと)とアフターを付き合わないといけないから、先に行ってて。」

僕 「OK。」

キーを受け取る。

綾が総経理の席に座る。総経理はご機嫌で綾の手を握っている。

仕事とはいえ、綾がほかの男とイチャイチャしているのは、見ていて気分が悪い。

僕は心の中で
(今、あんたが夢中になっている女は、僕がいつでも抱ける女なんだよ。)
と呟いた。

店を出て、タクシーに乗り込む。綾の家までは、タクシーで5分くらいだ。

綾は、店では華やかで颯爽としているが、住んでいるマンションは小汚い
1ヵ月500元のところだ。

僕は、マンションで、綾の帰りを待った。

遅いな・・・・・。

僕はベットの上に、私服のまま寝ころんだ。

このベット・・・・・。綾が、僕のために買ったダブルベットだ。
しばらくして、綾が帰ってきた。酔っている・・・・・。

綾 「遅くなってゴメン。待った?」

綾も私服のまま、僕の隣に寝ころんだ。

綾 「あの人、しつこくて・・・・・。」
そういって、指に、はめてある指輪を見せた。

初めて見る指輪だ・・・・・。

綾 「これ、綺麗?」

僕 「どうしたんだ?これ。」

綾 「彼(総経理)にもらったの。」

僕 「これ、ダイヤだろ?高いんじゃないのか?」

綾 「1万元(14万円)って言っていた。」

こんなプレゼント、よくするよ。

僕なんて、プレゼントを貰ったことはあるけどあげたことは、殆ど無いけどな・・・・・。

僕の携帯電話が鳴る。この頃は、中国では携帯電話がやっと普及した頃で、持っているのは、限られた人だけだった。

僕は責任者として、当然支給されていた。しかし、こんな時間に誰だ?

仕事以外では、ポケベルを使っていた。(仕事でも、もちろん使っていたが。)
プライベートの用事は、ポケベルでの短信のやり取りで・・・・・。

でも、こんな時間に仕事の電話の訳はないし・・・・・。

きっと、女の子からだろう。携帯には、かけてくるなと言っているのに・・・・・。
僕はベットから起きだし、部屋を出て、小さな声で話す。

僕 「もしもし?」

歩 「あ、松田さん?今、どこにいるの?」

ほかの店のチーママ、「歩」からだった。

僕 「家に決まっているだろ?こんな時間に、なに?」

歩 「今から、会いたい。私の家に来られない?」

僕 「もう、寝るからダメだよ。近いうちに会おう。」

歩 「いつもそう言って、会ってくれ無いじゃない。」

僕 「忙しいんだ。時間が出来たら、必ず会うから。」

歩 「綾の家に居るんでしょう?」

僕 「・・・・・・・・・・。」

歩 「綾の店に行ったんでしょう?ほかのコから、聞いたわ。」

この頃から、ネットワークはすごかった・・・・・。

あまり長電話をすると、綾に気づかれる。

僕 「違うよ、もう、寝るから、明日電話する。」

歩 「・・・・・本当に?そう言って、電話くれないじゃない。」

僕 「本当だよ。とにかく、明日電話する。」

歩 「・・・・・・・・・・。」

僕 「それと、携帯に電話をするのは、止めて欲しい。ポケベルの短信にしてくれ。」

そう言って、電話を切った。部屋に戻ろうと振り向いたら綾が立っていた。
僕を睨んでいる。

綾 「今の電話は誰?」

僕 「友達だよ。」

綾 「ウソ、誰なの?」

僕 「どうしてウソなんだ?信じられないのか?」

綾 「なら、携帯電話を貸して。今、掛かってきた人に私が電話をする。」

僕 「・・・・・・・・・。」

綾 「私といる時は、ほかの女と仲良くしないで。今の、女でしょう?」

僕 「自分だって、ほかの男と、イチャイチャしていただろ?」

綾 「私は、仕事なんだから。いいから携帯電話を貸して。」

僕 「・・・・・・・・・・。」

僕は、帰る振りをして

僕 「もう、家に帰るよ。」

綾は、少し驚いて

綾 「・・・・・どうして?泊まっていくんじゃないの?」

僕 「綾と一緒にいたら、僕は友達が、1人もいなくなる。ヤキモチも、程々にしてくれ。」

綾 「・・・・・・・・・・。」

僕が、玄関に歩いていくと、綾は後ろから抱きついてきた。

そして、ゴメンなさい、と謝ってきた。これって、どっちが謝るべきなのかな・・・・・?

僕は、この頃、4人の女性と、同時に付き合っていた。

複数の女性と付き合っていることは、4人とも、半公認だったのだが・・・・・。

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注1 公司=会社のこと

注2 総経理=一般的に社長のこと、経理担当のお偉いさんではない。

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